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ヒノキ/ひのき/檜
Hinoki tree(Japanese cypress)
【ヒノキとは】
・福島県の赤井岳(いわき市)より南の本州、四国及び屋久島を含む九州まで、日本の広い範囲に分布するヒノキ科の常緑針葉樹。主な天然のヒノキ林は木曽、裏木曽、高野山、高知県西部など数少ないが、材木用として植林されてきた歴史があり、植栽の面積としてはスギに次いで多い。我が国で最も普通に見られる木の一つ。
・ヒノキの樹齢は時に2,000年を超え、大きなものでは樹高50m、直径2m以上に達する。江戸時代にはサワラ、クロベ、アスナロ、コウヤマキと共に木曽五木として幕府によって厳重に保護され、その名残となる長野県赤沢自然休養林の木曽ヒノキは、青森ヒバ、秋田スギとともに、天然の日本三大美林と称される。ヒノキの人工林としては尾鷲、吉野、天竜などが知られる。
・ヒノキの材は木目の美しさ、香りの良さ、1,000年以上とされる耐久性や耐水性の高さから優良な建築材とされ、伊勢神宮、法隆寺の金堂や五重塔、東大寺、唐招提寺などに使われている。
・建材以外でも仏像、浴槽、風呂桶、簀の子、まな板、檜笠(綱代笠)、檜扇、曲物(漁師などが使った容器)などの日用品に使わてきた。スギよりも成長が遅いため木目は細かく、仕上がりが上品になるため価格は高い。近年では大口径の天然ヒノキが少なく、台湾から輸入されるタイワンヒノキに代えることが多い。
・葉は長さ1~3ミリの鱗状の小葉が組み合わさってできており、同じヒノキ科のサワラによく似るが、サワラのように葉の先端が尖らず、葉の密度はサワラよりも高い。また、サワラは葉の裏面の気孔線が「X」の形に白く浮かび上がるのに対し、ヒノキは「Y」形となる。
・ヒノキの葉には殺菌及び防腐効果のある脂分が含まれ、「掻敷(かいしき)」として鮮魚や松茸の下に敷かれたものが、スーパーの広告や店頭に見られる。
・ヒノキの開花は3月下旬~4月ころ。雌雄同株であり、1本の木に雌雄の花が咲く。雌花は直径3~5ミリの球形で淡い黄緑~赤紫色。雄花にはない十字の鱗片があるが、数はより少ないため、あまり目立たない。雄花は直径2~3ミリ程度の楕円形で、紫を帯びた褐色になり、枝先で大量に開花する。雄花から放出される花粉はスギ同様、花粉症の元凶となる。
・花の後には直径1~2センチの球形の果実(球果)ができる。表面は木質の「果鱗」に覆われるが、10~11月頃に赤褐色に熟すと果鱗が開き、中から翼のある種子が飛び出す。種子は直径3ミリほどで食用にはならないが、住宅地にも多いキジバトはこれを好んで食べる。
・ヒノキは材にも精油分が含まれ、古代にはこれを擦り環せて火を起こしたことから「火の木」と呼ばれるようになったという説がある。立木の状態でもヒノキ同士が互いに擦れて自然発火することがあるという。
・樹皮は赤みを帯びた褐色で、樹齢を重ねると縦に薄く剥がれるが、その幅はスギやサワラよりも広い。樹皮は檜皮葺(ひわだぶき)や火縄に使われる。
・名前の由来としては前述の「火の木」説が最も馴染みやすいが、最高の木を意味する「日の木」や、神社の用材となることを意味する「霊(ひ)の木」、あるいは葉が小さいことを表す「姫葉之木」を由来とする説もある。日本書紀によればスサノオノミコト(素戔嗚尊)は自分の胸毛でヒノキを創ったという。漢字表記は「檜」や「桧」のほかに「扁柏」がある。
・美白やアトピーの治療に効果があるとして有名なヒノキチオールが含まれるのは本種ではなく、台湾ヒノキである。台湾ヒノキは標高2,000~3,000mの山中に産し、より大きくなる。日本では大口径のヒノキが減ったため、明治神宮の鳥居などは台湾ヒノキを使っている。台湾ヒノキは日本のヒノキよりも香りが強い。
・ヒノキのような葉を持つ木全般をヒバ(桧葉)と呼ぶことがあるが、ヒバという木はなく、人によって地方によって、ヒノキ、その園芸品種あるいはアスナロやヒノキアスナロ、クロベを表す。おおまかにいえば、ヒノキは太平洋側の冷温帯に、冷温帯~寒温帯の多雪地帯にはアスナロとクロベが、より寒冷な地にはヒノキアスナロが分布するが、かつてはこれら全てをヒノキと呼んでいた。
【ヒノキの育て方のポイント】
・天然のヒノキは溶岩流の跡地や岩山など、環境の厳しい場所に単独で生じる。適度に湿った土地がベストではあるが、性質は基本的に強く、養分が乏しい乾燥地や日陰でも育てられる。木材として優良なヒノキは日当たりの悪い急斜面などでゆっくりと育ったもの。
・病害虫、大気汚染にも強い。耐暑性、耐寒性も高く、海抜2,200mまでは植栽可能とされる。
・放任すれば枝は横に広がり、全体としては縦長の卵形の樹形になる。剪定には耐えるが、強度の剪定は好まず、いったん大きくすると、小さくするのが難しい。マメな手入れが必要。
・相当広いスペースを比較的安価に埋めたい際にはヒノキでもよいが、一般家庭の庭木としては、成長がより穏やかな園芸品種(チャボヒバ(カマクラヒバ)、クジャクヒバ、カナアミヒバなど)を使うことが多い。
・根が浅いため強風で倒れることもある。特に若木のうちは添え木をした方がよい。
【ヒノキに似ている木】
【ヒノキの種類】
・ヒノキには多くの園芸品種があるが、「~ヒノキ」という外来の仲間や矮性の品種も多い。なお、青森ヒバとして知られるヒノキアスナロはヒノキではなくアスナロの変種である。
・ナンゴウヒ(南郷桧)
熊本県麻生郡の南郷谷付近で伝承されてきた、挿し木の品種。通常、ヒノキは播種によって繁殖されるが、ナンゴウヒは日本で唯一、挿し木によって育てられる。母樹が持つ丈夫な性質を安定して引き継いでおり、病気にかかりにくく、樹齢が高くなっても成長が落ちず、材木としては粘りが強い。
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ヒノキの基本データ
【分類】ヒノキ科/ヒノキ属
常緑針葉/高木
【漢字】檜/桧/檜木/桧木(ひのき)
【別名】ヒバ/ホンヒ/ヒ
【学名】Chamaecyparis obtusa
【英名】Hinoki tree
(Japanese cypress)
【成長】やや早い
【移植】簡単
【高さ】20~40m
【用途】垣根/公園
【値段】300円~