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ナギ/なぎ/梛
Nagi tree
【ナギとは】
・本州の一部(紀伊半島、山口県等)、式根島、八丈島、四国西南部、九州南部及び沖縄など、海岸域に分布するマキ科の常緑針葉樹。自生は少ないが、庭木としては主に静岡以西の暖地に植栽される。ナギ=凪(穏やかな海)と解し、海運の安全や受験の合格を祈願する御神木として神社に植えられることも。日本以外でも台湾や海南島(中国)で自生が見られる。
・葉の形がミズアオイ科の水生植物、コナギに似ているとして命名された。葉は肉厚な楕円形で表面がツヤツヤしており、まったく針葉樹には見えない。枝から対になって生じ、長さは4~6センチ、幅は1~3センチほど。裏面は淡い緑色になる。
・常緑樹の葉に見られるような主脈がなく、20~30本の細い葉脈が縦に走っている。葉の繊維が強く、縦方向に引っ張っても裂けないことから、縁結びの木とされ、古くは鏡の裏に入れれば会いたい人に会えるという俗信に、現代では結婚式場の装飾等に用いる。ただし、葉は葉脈に従って裂けば簡単に裂ける。
・ナギの開花は5~6月。前年に伸びた葉の脇に雌雄それぞれの花が咲くが雌雄異株であり、雌木には雌花が、雄木には雄花が咲く。雄花はクリーム色の円柱状で数個ずつ、雌花は緑色で葉の付け根あたりに1輪ずつ咲き、1~2個の胚珠がある。
・雌木には直径1~1.5センチほどの種子ができ、10~11月頃になると表面に白い粉を吹いたような状態になって熟す。この発芽率は高く、雌の木の下には小さなナギの木がたくさん育つ。種子には油分があり、かつては神社の石灯篭等の燃料用に使われた。なお、ナギは裸子植物であり、種子を包む果皮のようなものは肥大した雌花の鱗片。
・自生は稀だが、熊野権現の信仰と結びついて広まり、神社に多く植栽されている。奈良公園や春日大社のナギ林は古い時代に植栽されたものだが、天然記念物に指定されている。御神木として大切にされてきた熊野速玉大社(和歌山新宮市)にあるナギは樹齢1000年を超すという。
・樹皮は滑らかで灰褐色だが、樹齢を重ねると鱗状に剥がれ落ち、ナツツバキのようにオレンジ色を含む斑模様になる。幹の直径は最大で1.5mほどになるが、その材は緻密であり、床柱、彫刻材、家具材に、樹皮はなめし皮用の染料に使われる。
【ナギの育て方のポイント】
・日向を好むが耐陰性はかなり高く、半日陰でも育つ。乾燥や大気汚染には弱い。
・適度に湿った砂混じりの粘土を好む。健康な株であれば冬季を除き濃緑の葉になるが、栄養不良や環境が合わない場合は葉が色褪せて黄色くなる。
・葉や種子に毒性があるため動物による食害がない。動物園の景観樹として利用できるほどで、病害虫にもかなり強い。
・成長は早く、剪定に耐えるが常緑樹のような感覚で強めに剪定することはできない。
・暖地性の木であり、寒さにはやや弱く、関東南部以西が植栽の適地となる。特に苗木は霜に弱く、高さ2~3mになるまでは関東地方でも霜除けが必要。大木でも-10℃以下になると枯死する。
【ナギの品種】
・マルバナギ(丸葉梛)
葉が円形に近くなる品種。これに模様が入った品種をフイリマルバナギという。
・フイリナギ(斑入梛)
葉に白やクリーム色の模様が入る品種。模様の入り方によって更に品種を細分し、「三日月白布」「左橋白布」「赤門黄布」など数十種があるとする。
・ウスユキナギ(薄雪梛)
枝にも白い粉を帯びたような模様が入る品種
・ホソバナギ(細葉梛)
葉の幅が狭く、線形に近い品種
【ナギに似た木】
・イヌマキ
【ナギに名前が似た木】
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ナギの基本データ
【分類】マキ科/ナギ属
常緑広葉/針葉樹
【漢字】梛/椥/竹柏(なぎ)
【別名】ナツノキ/弁慶泣かせ
コゾウナカセ(小僧泣かせ)
チカラシバ/弁慶の力柴
【学名】Nageia nagi
【英名】Nagi tree
【成長】暖地では早い
【移植】やや難しい
【高さ】20m~30m
【用途】公園/街路樹/寺社
【値段】500円~