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ドイツトウヒ/どいつとうひ/独逸唐桧
Norway spruce
【ドイツトウヒとは】
・ヨーロッパの中部~北部を原産とするマツ科の常緑樹。クリスマスツリーといえばモミノキをイメージしやすいが、本種の方がモミノキより樹形が整いやすいため、より多く使われる。
・ドイツトウヒが日本へ渡来したのは明治時代中~後期のことだが、急速に普及したのは戦時中のこと。成長が早いため、需要が急増したスギやヒノキに代わる木材を得るため、ヒマラヤスギと共に各地に植栽された。
・樹形が壮大であるため一般家庭での植栽例は少ないが、公園や植物園などに見られ、北海道では防雪林として植栽されている。「ドイツの森に多い、唐風のヒノキ(檜)」という意味合いで、ドイツトウヒと名付けられた。
・葉は長さ1~3センチの硬い線形で先端は少し曲がるが、触れても痛くはない。断面は菱形で、各面の表には1~4本の白い気孔線がある。葉色は濃緑色で、クリスマスツリーに使われる木の中では暗い。若い枝は淡い褐色で無毛あるいは微毛。やや光沢がある。
・ドイツトウヒの開花は5~6月。雌雄同株で同じ木に雌花と雄花が咲く。雌花の後にできる球果(マツボックリ)は長さ10~20センチほどの長楕円形。トウヒ属の中では最も大きく、枝先に垂れ下がる姿はよく目立つ。でき始めの球果は緑色だが、9~11月に熟すと褐色になる。種子は長さ4~5ミリで長い翼があり、リスの好物となる。
・日本に育つドイツトウヒは樹高20~30m、直径60cmほどだが、ヨーロッパでは樹高50~70m、直径2mにも達し、樹齢は長い。原産地では主要な造林樹種となっており、材は建材、器具、楽器などに幅広く用いられる。かつては電柱やマッチの軸にもこれを使った。
・樹皮は褐色で滑らかだが、老木では紅褐色あるいは灰色を帯び、鱗状に厚く剥離する。枝は上方へ伸びて、樹形(樹冠)は円錐形になるが、樹齢を重ねると枝が垂れ下がる。
【ドイツトウヒの育て方のポイント】
・防雪林にも使われるなど、基本的には丈夫な木であり、北海道九州の各地に植栽できる。
・病害虫、公害に強く、街中でも育てられる。
・日陰にも耐える。
・暑さ、寒さに強く、北海道から九州まで植栽できる。
・樹齢が長く、相当な大木になる。長期的に付き合うつもりなら広いスペースが必要。
・移植は難しいものの、モミノキよりは扱いやすく、成長も早い。
【ドイツトウヒの品種】
・ニディフォルミス
背丈が大きくならない、いわゆる矮性の園芸品種。このほか、葉に白い模様が入る斑入りの品種もある。
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ドイツトウヒの基本データ
常緑針葉/高木
【漢字】独逸唐桧(どいつとうひ)
【別名】ビッシャー/オウシュウトウヒ
ヨーロッパトウヒ
【学名】Picea abies
【英名】Norway spruce
【成長】早い
【移植】やや難しい
【高さ】8~50m
【用途】シンボルツリー/公園樹
【値段】4000円~