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ダイオウショウ/だいおうしょう/大王松
Longleaf pine/Yellow pine
【ダイオウショウとは】
・北アメリカ東南部を原産とするマツ科の常緑針葉樹。マツの仲間では世界一長い葉を持つことから「大王」と称され、雄大な樹形を観賞するため公園や庭園に植栽される。
・マツといえば日本庭園を想起するが、ダイオウショウは姿形が大ぶりで洋風庭園にも違和感がない。日本に渡来したのは1912年(大正元年)のことで、別名をダイオウマツという。
・日本で一般的なクロマツやアカマツは針状の葉が二本一組で生じる「二葉松」だが、ダイオウショウは葉が三本一組の「三葉松」。樹齢を重ねたダイオウショウの葉は長さ20~30cmだが、若い木では40~50cmになって枝先に垂れ下がる(ちなみにクロマツの葉は長さ10~15センチほど。)。
・長い葉が描く曲線は柔らかで美しく、切り枝を生け花に使うことがある。また、葉から採取したエキスは美容効果があるとされ、アイマスクやリップパックなどの原料に使われる。
・ダイオウショウは雌雄同株で、4~6月になると1本の木に雌雄それぞれの花を咲かせる。他のマツと同じように雌花はその年に伸びた枝の先に、雄花は葉の脇に咲く。地味な花でありあまり目立たない。
・雌花の後にできるダイオウショウのマツボックリ(球果)は、長さ20~30cmの円柱形で、翌年の10月に熟す。種子は翼のある楕円形で長さは1センチほど。原産地では野生のリスが好んで食べるという。圧倒的な存在感のあるこの巨大なマツボックリはフラワーアレンジメントや工作に使われる。
・樹皮は暗褐色で上へいくほど赤くなり、樹齢を重ねると鱗状に剥離する。幹は単独で直立し、直径は最大1mほどになる。樹形は樹齢を重ねても崩れにくく、枝分かれも少ないため優良な建材となるが、乱伐の結果、天然の個体数は減っている。
【ダイオウショウの育て方のポイント】
・他のマツ類同様、日向を好み、日陰やまして室内では生育が悪い。正月に縁起物としてポットや鉢に入ったものが出回るが、屋内で育て続けるのは難しい。やや耐寒性が低く、植栽の適地は関東地方以西となる。また、乾燥に弱く、湿気のある肥沃な土地を好む。
・成長が遅く、手入れの手間が少なくて済む。むしろ、他のマツと同じような手入れをすると枯れやすく、特に太い枝を切ると急速に生育が悪くなる。
・病害虫に強いが稀にマツケムシやハダニの被害が発生する。また、強風で幹や枝が折れることがある。
・枝はまばらだが、大ぶりな樹姿が見どころであり、庭に植えるにはそれなりのスペースが必要となる。
【ダイオウショウに似ている松】
ダイオウショウと同様にアメリカを原産とする。日本のマツよりも長い葉を持つが、ダイオウショウに比べれば短い(最長で20センチほど)。また、テーダマツとダイオウショウの雑種も存在する。
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ダイオウショウの基本データ
【分類】マツ科/マツ属
常緑針葉/高木
【漢字】大王松(だいおうしょう)
【別名】ダイオウマツ
【学名】Pinus palustris
【英名】Longleaf pine
【成長】かなり遅い
【移植】難しい
【高さ】20m~40m
【用途】シンボルツリー
【値段】1000円~