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Threadleaf false cypress
【イトヒバとは】
・ヒノキ科ヒノキ属の常緑針葉樹。細枝や葉先が糸のように垂れ下がることからイトヒバと名付けられた。ヒバは「桧葉」でヒノキ科の園芸品種を表す。同属のサワラの園芸品種であり、野山には見られない。
・正式にはヒヨクヒバ(比翼桧葉)という。比翼とは鳥のペアが仲良く枝に並んで翼を重ねている状態を表し、葉が重なり合う様子をそれに擬えたもの。ヒヨクヒバとイトヒバは異なるという説も聞くが、一般的には見分けがつかず、同一視される。
・イトヒバの葉は鱗状の小さな葉の集まりで、小葉の先端はサワラと同様に鋭く尖っているため、触れるとチクチクする。イトヒバの魅力は垂れ下がる「糸」にあるが、その長さは個体や環境によって変化が大きい。枝葉は概してまばらに生じる。
・イトヒバに似た木にスイリュウヒバがあるが、これはヒノキの園芸品種であり、ヒノキと同じように葉先が丸みを帯びているため、触れてもチクチクせず、明確に見分けられる。ただし、スイリュウヒバは枝葉の垂れが短かい上に、樹形がまとまりにくいため、庭木としての利用は少ない。
・イトヒバの開花期は春(4~5月)で、雌雄の花が咲きく。小さくて地味であり、ほとんど目につかないが叩けば花粉が飛び出す。雌花の後には画像のようにサワラと同じ実ができる。実は自然に裂け、中から種子が飛び出すが、繁殖は挿し木によることが多い。
・幹はサワラやヒノキと同じように直立し、大きな木では直径2mほどになる。庭園では頻繁に手入れされてコンパクトにまとまっているが、放任すれば大きな円錐形の樹形となり、細枝は垂れ下がって糸状になる。樹皮はサワラと同じで樹齢を重ねると縦に薄く剥離する。
【イトヒバの育て方のポイント】
・原種であるサワラよりも成長が遅く、樹形が大きく乱れることは少ない。また、病害虫の発生もないため、手入れが楽な庭木といえる。広い庭でも狭い庭でも、その場に応じた樹形に整えられる。
・日向よりはむしろ半日陰を好む。日陰にも強いが、日陰では枝葉が間延びして見栄えがしない。
・「生垣に使う」とするガイドもあるが、独特の樹形から他の庭木とは馴染みにくく、単独で植えた方がよい。
・適度に湿った、栄養のある土壌を好む。
・比較的、寒さに強く、北海道南部まで植栽できる。冬期は葉色が褐色になるが、寒さや積雪に耐えるため北国のコニファーとして利用できる。ただし、元気に育てるなら関東以南が望ましい。
【イトヒバの品種】
・オウゴンヒヨクヒバ(オウゴンイトヒバ)
冬季に葉が黄色くなる品種。新葉もわずかに黄色い。近年はフィリフェラオーレアという名前で出回っている。
・キンイトヒバ
オウゴンよりも明るい黄色になる。
・斑入りイトヒバ
葉に模様が入る品種。
イトヒバの基本データ
【分類】ヒノキ科 ヒノキ属
常緑針葉 小高木
【漢字】糸檜葉/糸桧葉
糸比婆(いとひば)
【別名】スイリュウヒバ/ヒヨクヒバ
シダレヒバ/エンコウヒバ
【学名】Chamaecyparis obtusa
'Pendula'
【英名】Threadleaf false cypress
【成長】遅い
【移植】簡単
【高さ】3m~15m
【用途】シンボルツリー
【値段】1000円~