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ソヨゴ/そよご/冬青
Longstalk Holly
【ソヨゴとは】
・関東地方以西の本州、四国及び九州を原産とするモチノキ科の常緑樹。林内や林縁に見られるが、山の尾根など乾燥地した場所に多い。柄の長い葉が風に揺れて音を立てる(=そよぐ)ことから、ソヨゴと命名された。
・常緑樹の中では雰囲気が明るいため、現代的な住宅の植栽に株立ちを使うことがある。漢字表記の「冬青」は冬の間も葉が青々と美しいことにより、サカキのない寒冷地ではその代用として神事に用いる。日本以外では台湾に分布。
・元来ソヨゴを庭木として使う例は少なかったが、雑木ブームにつられて市場へ出回ってきた。なお、「冬青」は本来、中国において同じモチノキ科に属するナナミノキを表す。
・葉や幹の雰囲気は同科のモチノキやクロガネモチに似るが、葉の幅はより狭く、周辺が波打つ。長さ4~7センチ、幅3センチ前後で先端が尖り、枝から互い違いに生じる。表面は光沢のある深緑色で裏面は黄緑色。両面とも毛はない。
・堅くて丈夫な葉は内部に水分を保持する力が強く、火で葉を炙るとその部分が膨らむ。このため別名をフクラシバ(膨ら柴)という。新葉の画像で垣間見られるが、葉にはタンニンの一種である紅色の色素が含まれており、染料に使われる。
・ソヨゴの開花は6~7月頃。その年に出た葉の脇から花茎が伸び、小さな目立たない花を咲かせる。
・雌雄異株だが雌雄とも白と薄い黄緑色。雄花の柄は長さ1~2センチで3~8輪が集まって咲き、雌花の柄は3~4センチとより長い。雌花は普通、1~2個のみがまばらに咲く。
・雌花の後には直径5ミリほどの果実ができ、秋(10~11月)になると赤から黒に熟す。花や果実にも長い柄があるが、果実はサクランボのようにぶら下がって可愛らしい。
・果実の中には直径6ミリほどの種子が3~6粒ずつ入っており、これを蒔けば増やすことができる。食用にはならず、野鳥もほぼやってこない。
・幹は最大でも直径30センチほど。淡いクリーム色をしたソヨゴの材は緻密で加工しやすく、ソロバンの珠や工具の柄、床柱などに使われる。
【ソヨゴの育て方のポイント】
・葉がまばらで常緑樹としては色も明るめ。庭の雰囲気が暗くならないのが人気の秘訣だが、目隠しにはなりにくい。
・天然のソヨゴには樹高が15m近いものもあるが、庭植えの場合は背丈があまり大きくならず、狭い庭にも適している。
・成長が遅く手間があまりかからない。むしろ、剪定にやや弱く、下手に手を入れると形が乱れる。枝が角ばったように発生するため、柔らかなイメージを維持するように管理するのは難しい。
・土質を選ばずに育ち、病害虫にも強いが根が浅く、特に大木になると強風で倒れやすい。植え付け時には支柱を添えた方がよい。
・日当たりを好むが、強い日差しは苦手であり特に夏の西日を嫌う。こうした場所では葉が黄色っぽくなりやすく、むしろ半日陰地で育てた方が葉色はよくなる。
・寒さに強いとする説もあるが、関東地方でも環境が悪いと葉が貧弱な様子になる。生育の北限は東北地方南部。
・赤い実がなるのは雌の木のみ。実を観賞するなら雌の木を買う必要がある。雄の木に比べると値段はやや高め。
【ソヨゴの品種】
・タカネソヨゴ
長野の山間を自生地とするソヨゴで、地面を這うように育ち、葉の縁にはギザギザがある。
・キミノソヨゴ
画像のように黄色い実がなる品種。園芸用に普及する。
赤い実が美しい常緑樹花木 庭木の苗/ソヨゴ雌雄2株セット3〜3.5号ポット |
ソヨゴの基本データ
【分類】モチノキ科/モチノキ属
常緑広葉/低木~小高木
【漢字】冬青(そよご)
【別名】ソヨギ/ソメギ/フクラモチ
フクラシバ
【学名】Ilex pedunculosa
【英名】Longstalk Holly
【成長】遅い(暖地では早い)
【移植】簡単
【高さ】3m~10m
【用途】シンボルツリー/垣根/公園
【値段】1000円~