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オリーブ/おりーぶ/橄欖
Olive tree
【オリーブとは】
・地中海沿岸、アフリカ北部、中東及び中国を原産とするモクセイ科の常緑樹。果実がオイルやピクルスに使われることで知られ、世界中で栽培される。
・在来の常緑樹よりも葉の色が明るいことや、樹高があまり高くならないことから庭木として使われる機会が増え、関東以南であれば住宅地でも普通に見られるようになってきた。
・オリーブは人類が最初に栽培した植物の一つで、その歴史は5000年以上に及ぶ。日本でオリーブが栽培されるようになったのは明治時代以降のことで、最初に植栽された地の一つである小豆島が現在でも名産地となっている。
・5月から6月にかけて同じ仲間であるギンモクセイのようなクリーム色の花を咲かせる。花は直径5ミリほどの十字形で数輪ずつ集まって房になる。
花期は一週間程度と短いためボンヤリしていると観察できない。花にはキンモクセイほどではないが芳香がある。
・でき始めの実は緑色で、熟すと艶のある黒紫色になる。オリーブの実として食用するのは緑色のうちに収穫したもので、収穫後、塩漬けにする。
・オリーブオイルを採取する場合は完熟した黒紫色の実を使う。オリーブは果肉にも仁(種子から種皮を取り除いた部分)にも多量の油を含んでおり、完熟した実はその50%が油分となる。種子は先の尖った褐色の楕円形で、長さ10ミリ、直径5ミリほど。
・ギリシャではオリーブオイルを「黄金の液体」と呼び、古くから食用のほか、薬、燃料として活用してきた。ビタミンEやオレイン酸を豊富に含み、現代の日本でも生活習慣病の予防や美容(化粧品、石鹸など)に効果があるとして注目されることが多い。
・オリーブの葉は品種によって形や大きさが異なるものの、長さは10センチ以下で幅は3センチ以下。おおむね長い楕円形で裏面には短毛が多く、銀白色になる。枝がしなやかで風に揺らぐため、木全体が明るく見える。
・オリーブはギリシャの国花となっており、古代ギリシャではオリーブを慈愛、平和、自由の象徴とした。また、1947年に制定された国連の旗にもオリーブの葉がデザインされている。
・幹は直立せず、途中で分岐し横方向へ広がるものが多い。樹皮は緑がかった灰色で、樹齢を重ねると不規則に捻じ曲がって裂け目が入り、内部が中空になる。
・原産地での樹齢は長く、ギリシャやイタリアでは樹齢1000年を超える老木が珍しくないという。
【オリーブの育て方のポイント】
・あまり大きくならない品種を選べば、玄関や屋上、ベランダなど狭い場所でも育てられる。ただし、健康な生育には日照が不可欠。日当たりが悪いと花も実もならない。
・いわゆる庭木ではなく、樹姿にはまとまりがないため、他の木とは馴染みにくい。剪定にもセンスが必要で、ヘタにカットするとゴツゴツとした枝ぶりになりやすい。
・根の張りが浅く、強風で転倒しやすいため、植栽直後は支柱が必須となる。また、枝葉を重くしないよう定期的に剪定する必要がある。
・基本的には温暖で雨が少ない環境を好むが、極端な乾燥は嫌う。また、寒さにやや弱いため、関東以北では冬期の対策が必要な場合もある。
・収穫を目的とするならば、品種を慎重に選ぶ必要がある。収穫が安定しているのは、マンザニロ、アスコラノなど。またオリーブは雌雄同株だが「自家不結実性」という性質が強く、一本では実が成りにくいため、複数の品種を植えた方が収穫は安定する。 また、梅雨時に雨が少ないと収穫が増える傾向がある。
【オリーブの品種】
・ルッカ、マンザニロ、コロネイキ、エルグレコなどなど。日本に紹介されているものだけでも50種以上ある。
【オリーブに似ている木】
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オリーブの基本データ
【分類】モクセイ科/オリーブ属
常緑広葉/高木
【漢字】橄欖/阿利布(おりーぶ)
【別名】オリーブノキ/オレーフノキ
【学名】Olea europaea
【英名】Olive
【成長】早い
【移植】難しい
【高さ】2~10m
【用途】果樹/シンボルツリー
【値段】500円~