庭木図鑑 植木ペディア > 山野草 > ヤブラン
ヤブラン/やぶらん/藪蘭
Lily turf
【ヤブランとは】
・本州(関東地方以西)、四国及び九州に分布するユリ科ヤブラン属の常緑性多年草で、日本のほか韓国や中国にも自生する。林の中など湿気のある半日陰地を好んで生じるため、庭においては寄せ植えのほか、高木の下など日陰になる場所のグランドカバーとして使われる。
・藪に咲き、蘭のような葉を持つことからヤブランと命名された。古名はヤマスゲ(山菅)といい、その名は万葉集にも登場するほど古くから日本人に親しまれているが、最近では「サマームスカリ」や「リリオペ」といった横文字で売られていることも多い。
・葉はリュウノヒゲやキチジョウソウと同じように根元から生じるが、より長く、より幅広になる。表面は深緑色で光沢があるため、暗い場所でも陽光を受ければ明るく見えるのが特徴。葉は長さ50センチにもなり、先端は垂れ下がる。
・花期は夏~秋で、葉と葉の間から伸びた「花茎」の先端に明るい薄紫色の小花をたくさん咲かせる。花には画像のように6枚の花弁があり、やや上向きに咲く。中央にある蕊は黄色い。花は下から順に咲くが朝夕には萎む。花の後には黒くて丸い、木の実のような実(正確にはむき出しになった種子)ができる。
・根は太くて短く、ところどころで肥大する。この肥大した部分は「大葉麦門冬(だいようばくもんとう)」と呼び、咳止めや滋養強壮などの漢方薬としてリュウノヒゲ(小葉麦門冬)の代用になる。
【ヤブランの品種】
・シロバナヤブラン
文字どおり、白い花が咲く品種
・オキナヤブラン、コガネヤブラン
葉に白または黄色の模様が入る斑入りの品種
高さが20センチ以下にとどまり、葉の幅もヤブランより狭い。下草としてより使い勝手が良いものの、日陰にはやや弱い。花はヤブランよりもまばらで、基本的には薄紫色だが、白花が混じることも多い。
・リュウキュウヤブラン(コヤブラン)
関西以西の暖地に自生する品種でヤブランよりも性質は丈夫であり、砂地やかなりの日陰にも耐える。
・斑入りヤブラン
葉に白い模様が入る園芸品種。雰囲気が暗くならないため原種よりも幅広く用いられ、洋風庭園に多い。
・ピュアブロンド
新葉が白くなる品種で、明るめの葉色が長く続く。
ヤブランの基本データ
【分 類】ユリ科/ヤブラン属
多年草
【漢 字】藪蘭(やぶらん)
【別 名】ヤマスゲ(山菅)
サマームスカリ
リリオペ
【学 名】Liriope muscari
【英 名】Lily turf
【開花期】7~9月
【花の色】淡い紫色
【草 丈】~50cm