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ススキ/すすき/芒
Japanese pampas grass
【ススキとは】
・日本各地の草原や丘陵に群生するイネ科の多年草。風にたなびく黄金の穂は万葉の時代から数多くの詩歌に詠われてきた。秋の七草の一つだが雑草としてセイタカアワダチソウなどと共に駆除の対象にされることもある。
・日当たりが良ければ乾いた場所でも育ち、住宅地やアスファルトの隙間にも見られる。その丈夫さから「スクスク立つ木」が語源となったとする説もあるほど。基本的には火山灰質の土壌を好み、火山灰に由来する土を意味する「黒ボク」という別名がある。
・ススキの根茎は太くて短いものの分岐が多く、早春にたくさんの茎葉を生じながら増殖していく。民間療法では乾燥させた根茎を煎じたものは、利尿に効果があるとされた。また、ススキの根元には稀にナンバンギセルが寄生する。
・茎は緑色の円柱状で節がある。硬くて丈夫なことから屋根、炭を入れる俵、ホウキ、すのこ、冬季の家畜の飼料に用いた。茅吹屋根の「茅(萱)」とは、ススキ、アシ、チガヤなど、屋根を葺くのに使われるイネ科の草の総称であり、種子を食用するカヤノキ(榧)とは全く関係がない。
・茅吹屋根は一世代(30年)ほどの耐久性があるものの、一度に大量のススキを必要とするため、かつてはススキの群生地を茅場(萱場、カヤ山あるいはカヤ刈り山とも)として管理していた。茅吹屋根は断熱効果が高く、夏は涼しくて冬は暖かいという長所を持つが、火災に弱く、瓦屋根に取って代わられた。
・葉は幅1~2センチで先端が尖り、裏面は淡い緑色。付け根付近はサヤ状で茎を抱き、縁には細かなギザギザがある。ススキの葉には水晶の主成分でもある無水珪酸を多量に含んでおり、うっかり手で触れると傷を負う。このためススキには「テキリグサ(手切草)」との別名がある。
・ススキの開花は7~9月。茎の頂部から黄色または紫色を帯びた褐色の花穂を出し、多数の小花を咲かせる。花穂の様子を動物のシッポに見立て「尾花(オバナ)」と呼ぶことも。
・月見にススキの穂を供えるのは、収穫前のコメに代えてススキを神の依代とし、豊作の祈りと感謝の意を捧げるため。また、ススキは魔除けの効果を持ち、特に茎の切口に霊力があるとされる。
・漢字表記には「芒」を用いることが多いが、「薄」、「萱(カヤ)」もある。また、上記以外にも別名があり、シキナミグサ(敷浪草)、ソデフリグサ(袖振草)、ミダレグサ(乱草)、ツユグサ(露草)、ミグサ(美草)、サミダレグサ(五月雨草)など風情のあるものが多い。
・一般に秋の七草といわれるものは本種以外に、オミナエシ、キキョウ、ナデシコ、フジバカマ、クズ、ハギである。
【ススキの変種】
・葉に白やクリーム色の縦縞模様が入るシマススキ、鷹の羽のような模様が入るタカノハススキ、葉の幅が特に狭いイトススキ、花穂が紫色になるムラサキススキなどの変種があり、生け花などに使われる。
【ススキに似ている植物】
・水辺に多いヨシ(アシ)やオギ、関東以西の暖地に見られる常緑性のトキワススキ、海岸沿いに多いハチジョウススキなどがススキに似る。また、南アメリカを原産とするパンパスグラスは日本の気候にも適しており、明治期以降から公園や庭園に観賞用として植栽され、現在では一般家庭においても植栽される例がある。
ススキの基本データ
【分 類】イネ科/ススキ属
多年草
【漢 字】芒/薄木(すすき)
【別 名】オバナ(尾花)/敷浪草(シキナミグサ)
ソデフリグサ(袖振草)/ミダレグサ(乱草)
ツユグサ(露草)/ミグサ(美草)
サミダレグサ(五月雨草)/
テキリグサ(手切草)/黒ボク
【学 名】Miscanthus sinensis
【英 名】Japanese pampas grass
【開花期】7~9月
【花の色】くすんだ白
【草 丈】~150cm