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シラン/しらん/紫蘭
Bletilla/Chinese ground orchid
【シランとは】
・関東地方以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するラン科の多年草。かつては日当たりの良い傾斜地に群生していたが、手軽に育てられることや薬用になることが災いし、乱獲によって個体数は激減した。日本では現在、準絶滅危惧種に指定されるが、東アジアに全9種が知られる。
・シランという名は「紫色の蘭」を意味する。丈夫な性質を持ち、東日本でも地植えで越冬することのできる身近なランの一つであり、花を観賞するため、庭園や個人の庭に広く植えられる。ランの仲間では最も育てやすい。
・葉は幅5センチ、長さ15~30センチほどと細長く、茎の下部から5~6枚が互い違いに生じる。葉先は尖って触れると硬く、その様は庭木でお馴染みのシュロに似ているため地方によってはシュロラン、シロランなどと呼ぶ。シュロと違って秋以降は黄葉し、冬季には地上部が見苦しくなる。葉は縦筋が多く、白い模様の入る斑入り種もある。
・シランの花期は初夏(5~6月)で、細長く伸びた花茎の先端に薄紫色の花が3~7輪ほどまばらに咲く。花色は画像のような紫が基本だが、一部にピンクが入るものや、白色の花が咲くシロバナシランなどの品種がある。花には雄しべと雌しべが一体となった蕊柱が円筒形に並んでハチを誘い込むが、蜜はなく花粉も昆虫の食用にならない。
・花の後にできる果実は画像のように大きくて目立つが、中には小さな種子が粉末状に入っている。種子からは発芽しやすいが結果率は低めであり、繁殖は普通、株分けで行う。
・茎の付け根付近が球根のように太っているのがシランの大きな特徴。偽鱗茎(ぎりんけい)と呼ばれるこれを乾燥させて粉末状にしたものは、漢方薬「白笈(びゃくきゅう)」として打撲、止血、火傷、胃炎などの消炎に効果があるとされる。鼻血が止まらないときはシランの根の汁を鼻の付け根につけるとすぐに止まるといい、また糊として使うこともできる。
【シランに似た植物】
・ハラン
シランの基本データ
【分 類】ラン科/シラン属
多年草
【漢 字】紫蘭(しらん)
【別 名】シュロラン/シロラン
ビャクキュウ(白及)
【学 名】Bletilla striata Reichb. fil.
【英 名】Bletilla/Chinese ground orchid
Hardy orchid/Hyacinth orchid
【開花期】4~5月
【花の色】紫、白
【草 丈】~70cm