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ヨウシュヤマゴボウ/ようしゅやまごぼう
Inkberry/Pokeweed
【ヨウシュヤマゴボウとは】
・北アメリカを原産とするヤマゴボウ科の多年草。いわゆる帰化植物であり、明治初期に薬草として渡来したものが関東~九州の各地で野生化している。別名はアメリカヤマゴボウ。
・赤紫色を帯びた茎は刈り払い機による伐採が困難なほど太く、雑草の王者として人里近くの空き地、荒れ地、道端に君臨する。ゴボウとは関係ないが、肥大した根がゴボウを連想させるためヤマゴボウと呼ばれる。
・開花は6~9月で、葉の脇から伸びた長い茎に、白あるいは淡いピンク色をした小花が房状に集まって咲く。花の直径は1.5センチほどで、花弁のように見える5枚の萼と10本の雄しべがある。
・果実は直径7~8ミリの押しつぶされたような球形で、秋になると黒紫に熟してブドウのようになる。果実には赤紫の汁と、黒光りする直径3ミリほどの扁平した種子が入っているが毒性があり、これらに触れると肌がかぶれる。
・ヨウシュヤマゴボウの果実は食用にならないが、メジロなどの野鳥はこれを啄む。アメリカでは果汁をインクの代用としたためインクベリーと呼び、ワインや菓子などの着色料にも使った。
・葉は茎から互い違いに生じて大きな長楕円形となり、その両端は細く尖る。若菜を煮て食べたという記録もあるが、有毒成分があるため生食は危険である。葉は長さ10~30センチ、幅5~16センチで1~4センチの葉柄がある。
・茎や葉は無毛で、芽の上部で枝分かれし、横へ大きく張り出すように伸びる。若い茎は緑色だが、実がなる時季に向けて次第に赤紫色になる。
・ヤマゴボウと同様に硝酸カリやヒスタミンを含み、生薬として血圧降下や利尿に作用するが、葉や果実のみならず株全体にフィトラッカトキシンという有毒成分を含む。誤飲すると発疹、嘔吐、腹痛、下痢、痙攣などの症状を引き起こし、最悪の場合は死に至るため注意が必要である。なお、漬物の「ヤマゴボウ」はモリアザミの根であり、本種とは関係がない。
【ヨウシュヤマボゴウに似ている草花】
・ヤマゴボウ科は主として熱帯地方に見られ、約120種類あるというが、本種以外で日本で見ることができるのは、関東地方以西に自生する日本固有のマルミノヤマゴボウと、中国を原産とするヤマゴボウである。これらは花や果実が直立するため、ヨウシュヤマゴボウと見分けることができる。
ヨウシュヤマゴボウの基本データ
【分 類】ヤマゴボウ科/ヤマゴボウ属
多年草
【漢 字】洋種山牛蒡(ようしゅやまごぼう)
【別 名】アメリカヤマゴボウ
【学 名】Phytolacca americana
【英 名】Inkberry/Pokeweed
【開花期】6~9月
【花の色】白あるいは淡いピンク色
【草 丈】~150cm