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ヤダケ/やだけ/矢竹
Yadake(Arrow bamboo)
【ヤダケとは】
・本州、四国及び九州の山野に自生するヤダケ属のササで、シノダケと呼ばれるものの一つ。棹の節が低く、節間が長いのが特徴。「矢竹」の名前のどおり、かつては矢柄(矢の棒の部分)に、現代では釣竿や庭木として使われる。日本以外では韓国に分布。漢字表記には「箭」あるいは「箭竹」もある。
・葉は厚くて大きく、尾状に尖って垂れ下がる。長さ4~30センチ、幅2~4センチほどで両面ともに無毛。表面は深い緑色で光沢があり、裏面は白っぽくなる。葉は枝先に2~7枚ずつ生じ、7~8月に稀に開花するとコメ粒ほどの実ができる。
・棹は太さ0.5~1.5センチで、直立して最大で5mほどになり、先端部分には粗い毛がある。枝数は概して少なく、初年度は棹の中部以上にある節から一枝を生じるのみだが、翌年以降は枝分かれする。棹を包む皮は白くて厚く、粗い毛がある。上部の皮は節よりも長くなる。
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・ヤダケが矢に適するのは、材質の硬さはもちろんのこと、葉(枝)が上部にしかできないこと、芽溝と呼ばれる棹の窪みが浅くて太さが一定であることによる。矢のほかに筆や煙管(キセル)の軸、団扇、籠、飾り窓の材料などにも使われ、実用を目的として植栽によって日本各地に分布が広がった。
・日本各地に、武将が地上に刺した矢がヤダケの竹林になったという伝説が残るが、一般的には挿し木による繁殖は難しく、地下茎の伸長によることが多い。ただし、地下茎は広範にならず、母竹の周囲で群落を作る。
・ヤダケは成長してもタケノコの皮が落ちないため、タケではなくササに分類され、普通は食用しない。食用にするのはモウソウチク、マダケ、ハチク、シホウチクなど。また共に篠竹と称されることもあるメダケと混同されやすいが、メダケは節ごとに枝葉が生じ、ヤダケよりは節が盛り上がる。
【ヤダケの品種】
節がラッキョウのように膨れる品種。
・ヤクシマヤダケ
屋久島の高山帯に自生する近縁種で、稈が0.3~1mほどにとどまる。
・キイイジマヤダケ
葉に黄色い模様が入る品種
・フイリヤダケ
葉に白い模様が入る品種
ヤダケの基本データ
【分 類】イネ科/タケ亜科
ヤダケ属
【漢 字】矢竹(やだけ)
【別 名】ジノ/シノダケ/シノベ
ヤノ/ニガタケ/ノダケ
ヘラダケ/ヤジメ/ヤジノ
【学 名】Pseudosasa japonica
【英 名】Yadake(Arrow bamboo)
【高 さ】2~5m
【直 径】5~20mm
【節間長】25~40cm