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スエコザサ/すえこざさ/寿衛子笹
Japanese bamboo Suekozasa
【スエコザサとは】
・アズマザサの変種で、宮城県と岩手県南部に自生する。日本の植物学の父といわれる牧野富太郎博士が昭和2年に宮城県仙台市で発見し、亡き夫人の名にちなんで名付けたことで知られる。
・スエコザサの葉は長さ10センチ程度の長楕円形。表面に白くて長い毛が並び、葉の縦半分が裏側に反り返って皺になる特徴を持つ。まばらに生じ、裏面には短い軟毛がある。
・耐寒性が高く、降雪地帯に植えても葉先が枯れにくいため、寒冷地の庭園では垣根や岩組の植栽に使われる。春先に出た芽は大きく育って観賞価値が劣るため基部で切り取り、二回目以降に生じた小型の芽を利用する。
・棹は高さ1~2mで大きめだが、太さは4~6ミリと細く、やや風に弱い。棹の表面は平滑で無毛。棹にまとう皮はササとしては短めで、節間の半分ほどにとどまる。自生地近くでは稀に家具や器具、建物の壁芯に使われる。
・牧野博士は1500以上の植物に命名しており、その中には綺麗な花を咲かせる植物もある。にもかかわらず、自身の研究を支え続けた寿衛子夫人に地味なササを選んだのは、夫人が病床に伏した時期に、ちょうど本種の調査をしていたため。
・東京都台東区谷中の天王寺にある牧野夫人の墓碑には、牧野博士自作の句「家守りし 妻の恵みや 我が学び 世の中の あらん限りや すゑ子笹」と刻まれる。
スエコザサの基本データ
【別 名】 ─
【高 さ】 1~2m
【直 径】 4~6mm
【節間長】 7~15cm